今回は、前回の記事の続きで、G7の国の特徴を地政学の観点から考察していきます。
フランス
フランスといえば、伝統的な王政を市民が打倒したフランス革命により、王様がいなくなったことで有名です。
長らくの伝統を捨て、全く新たな独自路線を歩む、そのような姿勢が国の運営に見られます。
まず、フランスは陸軍国家として有名です。
古くから欧州の覇権を争っており、特にドイツとは永遠のライバル関係にあるように思います。
フランスはいわずもがなランドパワーの国です。
とにかく陸地から侵略されることを想定して、国の防衛を考えています。
しかしながら、フランスは最近では、海軍(シーパワー)にも力を入れております。
というのは、あまり知られていないのですが、フランスは世界で1位の排他的経済水域の面積を誇るので、当然海軍も重要になってくるわけです。
また、フランスの驚くべきところは、自前で兵器を作っているところです。
原子力空母(シャルルドゴール)や戦闘機(ラファール)等欧州で共同開発するのではなく、すべて自国で作っています。
これは凄いことで、原子力の技術や航空機エンジンを自国で賄うのは極めて難しく、日本もできていないところです。
フランスは自国で兵器を作る自力があり、これを諸事情でアメリカから兵器を買えない国に売ることに成功しています。
例えば、台湾は、アメリカが中国に気を遣いアメリカから兵器を購入できないので、フランスから兵器を買ったりしています。
アメリカが入らない隙間を狙い、しっかりと存在感をアピールしていることは本当に凄いといえます。
また、フランスは欧州随一の農業国であり、食料自給率も非常に高いです。
近年では、イギリスなき後のEUを牽引する国として益々世界で存在感を増していくでしょう。
ドイツ
ドイツの特徴といえば、確かな技術力を有したランドパワー国家でしょうか。
伝統的に自動車や戦車の技術に目を見張るものがあります。
ドイツは、その技術力の高さから常に世界の注目を浴びてきました。
私見ですが、ドイツはフランスに比べ国土面積も狭く、大規模農業に適した土地ばかりではなかったため、工業を発展させることで国を豊かにしようとしていたのだと思います。
そのドイツも二度の世界大戦で敗れるという苦い歴史もあってか、最近では常に調和を重んじ、個性的な外交は行わないようにも見えます。
世界大戦ではあれだけ相容れなかったロシアとも貿易関係で良好な関係を築く至っています。
また、ドイツは欧州一の経済力を誇る国でもあるので、EUに最も資金提供しており、また過去の反省からか移民救済も積極的に行っています。
最近では、航空自衛隊とドイツ空軍との日本での共同演習も話題となりました。
イタリア
イタリアは、かつてはローマ帝国の中心であったことからも、地中海を本拠地とするシーパワー国家と言えます。
また、イタリアは背後にアルプス山脈を臨んでおり、天然の要塞として陸路からの攻略は難しいため、これは海軍に力を割ける好要因となっております。
因みに、かつて2000年以上前、カルタゴの名将ハンニバルは、アルプス越えを果たし、ローマを震撼させました。
ベネチアやジェノバなどの海洋都市国家の名残から海軍力には定評があります。
カブールという航空母艦も運用しています。
現在では中国の一帯一路構想を受け入れる姿勢を見せ、中国との関係構築も模索しています。
ただ一方で、G7参加国ということからも日本や欧米とのつながりも重んじる姿勢です。
なお、イタリアは、ローマ法王がおり、ローマカトリックの総本山となっており、キリスト教での世界的影響力は非常に大きなものとなっております。
カナダ
カナダの特徴は、英連邦構成国及びアメリカと仲が良いということでしょうか。
英米と親密なつながりがある国とは凄いですよね。
アメリカが最も信頼する国の一つとなっております。
NATO加盟国であり、もとはアメリカと同じ植民地であったこともあり、軍事的にはアメリカに守ってもらっているところがあります。
カナダは、世界2位に面積を誇る超巨大国家でありながら、人口が4000万人弱と面積に比して人口が少ないため、国防全てを自国で賄うのは非常に効率が悪いです。
そこで、軍事的にアメリカと同盟を組むことは最善の策といえるでしょう。
カナダは、日本人の人気の留学先であり、非常に治安も良く、好印象を抱かれている方も多いのではないでしょうか。
また、カナダは、最近にわかに注目されている北極海航路でロシアの次に排他的経済水域を有する国なので、海洋資源を利用して益々発展することが期待されています。
余談ですが、カナダ国歌は「オー、カナダ」というのですが、非常に平和的で落ち着く良い歌なので、良ければ是非聞いてみてください。
日本
日本の特徴は、島国ということにつきます。
島国のため、防衛力は抜群であり、シーパワー国家ということになります。
日本は江戸時代までは世界有数の陸軍国家でしたが、幕末に坂本龍馬が「これからは海軍ぜよ」と言ったがどうかは定かではないですが、海軍の増強に力を入れてきました。
最盛期には、アメリカを凌ぐほどの海軍力、すなわち世界最強の海軍力を誇っていました。
敗戦してからは、日本の防衛は自衛隊と駐留米軍により国防が行われています。
ご存じの通り、日本は、古代から中国と交流し、江戸時代はオランダと交流し、戦前は日英同盟、戦後は日米同盟というように常に世界の覇権国家に寄り添ってきました。
これは非常に珍しいことだといえます。
また、面積がさほど大きくはないが、島国として国力を高め、世界でも存在感を発揮していることからすれば、東洋のイギリスだということも間違えではないように思えます。
因みに、アメリカは西にイギリス、東に日本と協力することで大西洋と太平洋に影響力を保持することに成功しています。
しかも、横須賀に駐留するアメリカ海軍第七艦隊はアメリカ軍最強の規模を誇る海軍部隊であるといっても過言ではありません。
それほど、極東の情勢は予断を許さないことであるともいえます。
日本はこれからは常に危険と隣合わせの上、国家の舵取りを行わなければならないのかもしれません。
日本の弱点と言えば、国内産業が伸び悩み、外国に誇れる物がなくなっており、衰退しているということでしょうか。
これには様々な思いを抱かれる方がいらっしゃるとは思いますが、国家が成熟すればある程度は仕方のないことなのかもしれません。
一案ですが、日本は老人的ポジションから新興国にアドバイスをするような国家でも良いのかなと思ったりもします。
国家が成熟しているのに、今更高度経済成長期のような成長や働き方を求めるのも酷なような気がいたします。
なお、日本は戦争の反省から戦後は世界各国と友好的関係を築いてきました。
日本の外交は世界でも信頼されるに至り、何か問題が生じたら日本が仲裁に入ることも珍しくありません。
それが日本のパスポートが世界一信頼されていることにつながっているのかもしれません。
まとめ
今回は、地政学の観点からG7各国の特徴を少しばかり説明させていただきました。
単なる私の感想になった感は否めず、とりとめのない文章になったことは大変申し訳ございません。
後程修正するかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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